16章

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今、何時かしら? マンションのカーテンの隙間から光が漏れている。 私はカーテンまで歩き、少し開けて目を細める。 「眩しい…」 ベッドの隣に置いてあるサイドテーブルの時計を見た。アナログ時計は「13時」を示していた。 ベッドに腰をかけて、まだ寝ている人間に手を伸ばした。 「この子、まだ寝てる…。若い子って本当によく暴れて寝るわね」 掛け布団からサラサラした茶髪、イケメンのような整った顔つき、少し焼けた肌。 サラサラした茶髪を優しく撫でた。 愛しい存在。 手に入らないと諦めかけていたのに…目の前にいる。 贅沢な夢。 キィー ドアがゆっくりと開く音がした。 音がした方向に視線をやると、私の癒しがやってきた。 「ニャーニャー」 白くてフワフワの毛並み。短い手足がとても可愛らしい。 多分、私がこの世で愛しいと思うのは、「皐」と「猫のマリ」のみ。 マリを抱き寄せて、膝の上に乗せる。 今は白いシャツしか着てない為、直接マリの毛並みを感じる。 「本当に可愛いわね、マリ。私、マリ以外に皐という大きな猫を好きになってしまったわ。ヤキモチ妬かないでね」 私の声に反応するようにマリが鳴き声をあげる。 マリを膝から降ろして、再び布団の中に入った。 皐は静かに寝息を立てている。 私は後ろから抱きつき、大切な宝物のように抱き締める。 「はぁー…朝の貴女も可愛かったわ。あんなに拒まなくても良いのに…」 子供のように暖かい背中。 私より数㎝しか変わらない身長が小さく見える。 ~数時間前~ 私に引っ張られ、マンションにやってきた皐。 動揺しているのか辺りをチラチラと見ている。子供みたい… 荷物は大学に忘れたまま。 予備の部屋のカードキーがコートの内ポケットに入っていた為、助かった。 「さっきからどうしたのよ?落ち着きがないわよ」 ポケットからカードキーを取り出して、ドアを開ける。 ドアが開く音でさらに落ち着きがなくなる皐。視線を私と合わそうとしない。 『だってさ…あんなことの後にマンションなんて恥ずかしい過ぎる!椿は良いけど、私の気持ちは…』 精一杯の気持ちなんだろう。 確かに『告白→ヤった→さらに…』急な展開。 しかし、私の中では余裕がない。 私は皐の頭をハレモノを扱うように撫でた。少し安心したのか、やっと私と視線を合わせた。
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