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段ボールを抱えて、椿が帰ってきた。
研究室で作業すると言って、大学に行ったんだけど…
明らかに片付けへ行った雰囲気。
聞くに聞けない。
台所で夕食の準備をしており、焼き魚を皿に盛り付けている途中。
広いダイニングキッチン、全く使っていない状態。
実家にいた頃は、私が家事を全てしていたため、苦にはならない。
椿はバスローブに着替えて、テレビを眺めている。 バスローブ姿も綺麗。
見とれている場合ではない!
聞かないと思っていると、味噌汁が吹き出しそうになっている。
『うわっ!アチッ!』
取手に触れるが、熱くて指先を軽く火傷した。
指に息を吹きかけていると、長く細い指に掴まれて、水道水で冷やされていく。
じんわりと痛みがあり、顔をしかめると綺麗な声が聞こえてきた。
「ちゃんと冷やさないと痕になるわよ。」
椿の横顔がかなり近くにあった。
長いまつげが綺麗にカールしている。
『ああありがとう』
「今さら、緊張しているの?クスッ」
近くにいるため、胸の高鳴りが激しい。心臓が持たないよ…
蛇口を締めて、冷蔵庫から小さなアイスノンを持ってきて指に当ててくれた。
『手際が良いね』
「留学先で身体について勉強しているから、対処方法は分かるの」
大学の話キタ!
今、今でしょ!!
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