最終章・暖かなる真冬。

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 季節はすっかり真冬となっていた。 一蔵と平佐衛門はあれから何ヶ月もかけてスワロー国の鉄道をあちこち訪ねて周ったのだが、それでも訪ねていない鉄道は山のように残っているのだ。 いわばスワロー国の鉄道は星の数程あり、また奥が深いのである。 この日一蔵と平佐衛門はレオン中央駅からクロップス行きディーゼル列車の客となり、一路懐かしいクト駅を目指していた。 「今日は慰霊祭やな… 陛下御夫妻もおいでになるそうやで」 今やスワロー国鉄ミニ辞典となった愛用の手帳を見ながら一蔵。やがて平佐衛門が口を開く。 「ああ。第一種軍装なんて久々に着たばい」 「暫くサーモンサンドはお預けやな」 少し苦しそうな平佐衛門の第一種軍装…特に腹の辺りを見ながら一蔵。 この事から、平佐衛門が未だ第一線復帰を許されていない事が窺える。やがて平佐衛門が言葉を続けた。
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