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季節は流れ、中学五年生に進級した二人は、やがて社会の荒波に漕ぎ出すべく将来の針路を定めなくてはならなくなる。
一蔵は鉄道院に、親友は高等商船学校への進学に、それぞれの針路を定めつつあった。
「グラスカステンさん?
名前からしてスワローのお人やな…」
「おいが熊門におった頃のご近所さんばい。
今はスワローに帰って、連絡船の船長しゃんばしちょっとよ」
「自分の目標って訳やなクマ」
一蔵の言葉に笑いながら頷く親友。クマというあだ名の由来は、親友が熊門出身である事と、クマのようにでかい図体である事に由来していた。
やがて親友クマは、自分の宝物だと言って一枚の写真を一蔵に見せてくれる。
その写真にはグラスカステン夫妻と、今年5歳だという一人娘が幸せそうに笑いながら写っていた。
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