スワロー国へ。

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 スワロー国も扶桑国も、国土の四方を海に囲まれている点に於いて、その条件は極めて似通っている。 鉄道のスワロー国に海上交通の扶桑国。 いわばお互いの発展途上部門を補い合う形で、両国が友好国となるのにそう時間はかからなかったのだ。 陸上交通も海上交通も、独立国にとっては極めて重要なものである。 当然両国の人材交流は活性化し、お互い友好国に追いつきそしていつかは追い越そうと、毎日のように沢山の人々がお互いの国を旅立ってゆく。 省線西扶桑本線西灘支線神関(かみのせき)埠頭駅に降り立ち、神関港から今まさにスワロー国へと旅立つ貨客船に乗り込もうとうとしている、若き鉄道省職員十河一蔵(そごう=いちぞう)もその中の一人であった。
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