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「早く海に出たかよ一蔵。
今はサーモンサンドより、復帰の辞令が百万倍欲しか。
せっかくエイリークしゃんがよか温泉ば教えてくれたんに、げに申し訳なかばい」
唇を噛み締めながら平佐衛門。
エイリーク氏とはスロの上司であるエンドウ主任の部下で、二人がクロップスを訪れた際にイカホという所にあるスワロー国でも指折りの湯治場を教えてくれたのだ。
当然一蔵は、親友に暖かい手を差し延べてくれたエイリーク助役に、強い強い恩義を感じていた。
「今は我慢の時やでクマ。
そないなしかめっつらはやめんかい。
リリカちゃんに心配かけたらあかんやろ?」
「だんだんなぁ(ありがとう)一蔵。貴様ンの言う通りばい」
親友の思いやりある言葉に笑顔を浮かべる平佐衛門。
やがて車内放送が、次の停車駅が待ちに待ったクトである事を告げるのであった。
おいかけっこ・完。
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