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その大男は半年ほど前に、何処からともなく港町クロップスにフラリと現れた。
その時の大男の格好と来たら、どうひいき目に見てもホームレス以外には見えなかったらしい。
ガリガリに痩せた身体を覆い尽くすかのように、髪はボサボサで髭もボサボサ。おまけに自分の名前まで忘れているというていたらくであった。
「おし、もう上がっていいぞグリィ。ほれ、少しイロをつけといてやったぞ」
そう言って大男に、日当の入った袋を手渡す監督。仲間内からグリィと呼ばれている大男の上司、マツオ=トレビシック=Jrである。
「ごっつぁんです親方」
流暢な扶桑語でそう答えると、グリィはマツオにペコリと一礼し、住家である倉庫の一角へと歩いて行った。
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