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やがてグリィの姿が見えなくなった頃、眼鏡をかけた小柄な男がマツオに駆け寄って来る。
マツオが率いるトレビシック倉庫の金庫番こと、タケシ=シェルパであった。
氏名から分かるように、マツオもタケシもスワロー人の父と扶桑人の母を持つハーフなのは言うまでもない。
「どうしたタケシ、もしかしてまた赤字か?」
「またって何ですかまたって…
ここ半年黒字のままですよ」
苦笑しながらタケシ。どうやらトレビシック倉庫の台所事情は、余り良いとは言えないらしい。
「じゃあ、ロコの嬢ちゃんがとうとうスロの大将に告白したのか?」
「二人ともまだ十代ですよ監督…
そろそろあいつにボーナスをやろうかと思いましてね」
またも苦笑しながらタケシ。あいつが誰を指すのかは言うまでもなかった。何しろグリィは、一人前の日当にも関わらず三人前時には五人前は働く事で知られているのだ。
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