①長女・春子の場合

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大志くんと初めて会ったのは入学式。 わたしは一目惚れした。 大志くんのことを見た瞬間ドキドキが収まらなくて、最初は話しかけることすらできなかった。 でもわたしの存在を知ってほしくて、緊張しながらも話しかけた。 そして告白した。 『よ、横峯 大志くん。わたし、季風 春子って言うのっ……んっと、大志くんの2個上で、その……』 いきなりわたしに話しかけられて大志くんはキョトンとしてて、でもそんな顔もかわいすぎる~とか興奮したりしていた。 『わたし、入学式のときに大志くんに一目惚れしたの! 大志くんのことが好きです!』 『えっ。俺、ですか?』 わたしは必死に何回も頷く。 『あ~すいません。俺、先輩のこと全然知らなくて……でも告白してくれて、すっげぇ嬉しいです! ありがとうございます♪』 『あの、フラれちゃったけど……仲良くしてくれる?』 『はい、もちろんです』 わたしのいっぱいいっぱいの告白を、優しく受け止めてくれた大志くんにわたしはますます惚れた。 「~……もうっ、いいかげん離れろよっ!」 大志くんは、無理矢理わたしを引き離す。 「え~やだぁ、もっとくっついてたいぃ」 「春子、勘違いされるからまじでやめて」 「え~? わたしは別にいいけどぉ」 「春子がよくても、俺がヤなの。じゃ!」 それだけ言って、走って行ってしまった。 「あ~あ、行っちゃったぁ……」 「春子に狙われるなんて、あの後輩もかわいそうだね」 「ん~? 夏希ぃ、それどうゆう意味ぃ?」 「どうせ遊びでしょ。遊びに付き合わされるなんてかわいそうって意味」 「夏希のバカ!!」 わたしは持っていたスクバで、夏希の体を思いきり叩く。 「もう昔のわたしじゃないんだから! 姉妹でそんなこともわかんないの?!」 わたしは怒ってその場をあとにする。 「いったぁ~……なんなの、あのババア」 「今のはなっちゃんが悪いよ?」 「はぁ!? なんでわたしがっ……」 「春ちゃん変わったじゃん。誰にも、物にも依存したことがない春ちゃんがさ、ああやって避けれながらも毎日毎日話しかけてるんだよ? 頑張ってる人のことけなすなんて、ひどいよ」 「うっ……」
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