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田村へ本当に何でも無いからと取り繕い、私は足早に席へ戻る。
一番後ろの窓際は、気配を殺しオブジェと化すにはうってつけだ。
――絡まれたくない……
身体測定やら何やらの後は、そう思いながらいつも隅っこで小さくなる。
元々小さいとか、その辺は触れないで欲しい。
「あ、洋子ー。私さぁー」
教室へ入るなり、月華は田村へ話しかけた。
二人は割と仲が良い。
モデルをしている田村は流行り物に敏感で、同じく流行り物を我先に欲しがるタイプの月華は、主にそういった話題を持ちかける。
他愛ない話。
だが、その中にスルー出来ない内容が含まれていた。
「――そう言えばさ、”エンジェルブラ”って下着が発売されてさー」
「あー知ってる! サイズが2カップ上がるって奴だよね!」
そして私をチラリと見た二人。
何だその視線は! 私が食いつくと思っているのか!
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