421人が本棚に入れています
本棚に追加
「根古屋さん……?」
遠い目をしていた私へ、不思議そうに田村が問いかける。
それに両手を肩の高さまで持ち上げ、やれやれ――と、月並みなリアクションを見せた月華は、楽しそうに笑いながら口を開いた。
「ふふっ。やっぱり暁ちゃんは”可愛い”よね」
「”可愛い”……?」
月華の言葉に田村は同意を見せ、何度も顔を上下に振る。
「うんうん。何か……”妹みたい”だよね」
「”妹”……?」
私の中で何度もリフレインする”可愛い”という言葉。
――ホルスタイィィィィンッ!
最早憎しみの塊となり果てた私の心は、あの日の事を思い出していた。
私の心に悪魔が産まれた――
小学校6年生の時のプールの授業を。
最初のコメントを投稿しよう!