3765人が本棚に入れています
本棚に追加
「正義」
そう僕の名前を呼ぶ一佐の纏う空気が急変する
その場にピリッとした緊張感が走り、周りの生徒の会話も途端に止まる
「…何?」
一佐を見てると本当に認められた生徒なのか、もしかすると本人がそう言っているだけで
本当は一般生徒なんじゃないかと錯覚させられる
スッ
僕の前に手が差し出される
「儀式終了おめでとう、そして
”ようこそ”」
目の前の人物は既に先程までの宮崎一佐では無い、別人だ
その錯覚はこうして、直ぐに破られてしまうのだ
「有難う」
ギュッ
ここに固い約束が生まれた
「…これするの疲れるんだよねぇ」
にへっ、と途端に緩む顔
…色々と台無しだよね
「いっつもそうしてればいいのに」
「嫌だよ、疲れるしさー」
子供のような一佐を、呆れ半分で見つめた後
未だに繋がれたままの手を一佐の手共々上げる
「…何時まで握ってるつもりなの
いい加減、男と手握るの嫌になってきたんだけど?」
「もう、冷たいんだからっ」
ググググ
「ぎ、ギブギブギブッ!!」
その場には暫く一佐の声が響き渡っていた
最初のコメントを投稿しよう!