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「ギッ……?」
「こっちだよぉ~」
怪人が辺りをキョロキョロと見回していると、天からいきなり声が聞こえる。上を見上げると、ジェイドがふかふかと宙に浮いており、こちらに気付いたのを確認すると、にっこりと笑い、軽く人差し指を立てくるりと回した。
「えいっ!」
「ギギッ!?」
その瞬間、怪人の体がふわりと宙に浮く。そして、立ち込めていた霧が一気に掻き消えれば、それを合図のようにして、突如、風が吹き出した。それは、次第に竜巻へと変貌すると、怪人を包み込み、切り刻みながら天へ巻き上げていった。
「ギッ……ギギ、ギッ……」
そして、あっという間にビルの3階ぐらいまでの高さに到達した時だった。ふっと風が止む。
今まで支えていたものが無くなり、一瞬だけふわりと宙に浮いた瞬間、怪人は遥か真下にある地面をチラリと見た。
すると、そこには一つの人影。
アメジストが、怪人が現れるのを待っていたかのように、空に向かって両手を掲げていたのだ。
「次は、オレの番……」
アメジストがそう呟くと、今度は怪人より遥か上の空がピカッと光る。
怪人は、直感で危機を感じたが、そこは足場のない“空”。逃げ場もなく、ただ落ちて行くしかなかった。
「お願い、来て……!!」
光は徐々にゴロゴロと音を立て始める。そして、アメジストが腕に力を込めた時、彼に呼び寄せられるように雷が空より落ちてきた。
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