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「グギャ、ギァァ、ァァ!!」
アメジストの真上にいた怪人は、雷をまともに食らう。宙に浮いた体はのけ反ってビクビクと痙攣し、その硬質な皮膚も一瞬で焦げて炭へと成り果てていた。
雷が止んだ頃には、生きているのが不思議なくらい黒焦げており、そのまま地面へ強く叩き付けられると、パリンと表面の皮膚が砕け散って素肌が晒された。
「ギ……ァ……?」
落ちた衝撃で、砂埃が舞う中、なおも立ち上がろうとする怪人。その前方で4人は再び集まると、ガーネットが一歩前に出て指を鳴らした。
「……なんか、ちょっと虐めてるみたいで可哀相になってきちゃった」
「同情は不要です。これだけの人々を殺した怪物に、情けをかける余地はありません」
「……」
「……さて、最期は楽に死なせてやるよ」
ガーネットはゆっくり構えを取ると、砂埃から現れた怪人目掛けて突進していく。
「燃え尽きろっ!!」
「ギッ……イタ、イ、タスケ、テ……」
――あぁ、ごめんな。
ガーネットの拳が、怪人の腹部へ入ると同時に、そこから炎が吹き出し、怪人を喰らうように包み込む。
その瞬間、彼は、彼等は、確かに見た。黒い鎧を剥がれたその“化物”は、“人間”であったのだ。
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