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たった数分前まで、活気のあったであろうショッピング街は、真っ赤な血で染まり、複数の死体が転がる凄惨な現場と成り果てていた。
そして、一つの死体の側に、この惨劇を起こした“化物”がいた。
「お、ビンゴ。“母さん”の言ってた通りだわ」
少年は化物を見るや否やそう呟いた。化物も、少年に気付き、その新たな獲物に喜ぶように「キシッ」と鳴いた。
「見るからに弱そうだし、これなら俺一人でいけるかな」
少年はまじまじと化物の姿を見て、怖がる所かそう言って笑う。
化物は、人の型こそしてはいるが、皮膚は所々黒く変色し、つやつやと金属のように固くなっていた。顔もまるで面を被ったように硬質で、口元と思われる所だけが笑っているように歪んでいた。そして、人々を葬ったであろう爪は鋭く長い刃物のようになっており、ポタポタと血が滴っている。
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