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泣き出しそうな顔をしている彼女の頬にそっと手を置く。安心させるように。僕の存在を誇示するように。
そして、僕は夢を叶えよう。
「実は君に言いたい事があってね」
「――! ――――!」
頭が彼女が言っている意味を理解していない。だが、彼女の言葉が聴けるだけで僕は幸せだった。
「こんな状況で言われても困ると思うけど」
「―――!?」
「結婚してくれないか? こんな直ぐに夢を諦めるような駄目な男と、さ」
「―――――――――――!!」
やはり、何を言っているのかは解らない。でも、それでも、満足している。
夢を叶えきれてはいないだろうけど、これは夢を諦めた僕からしてみれば物凄い一歩だ。
月面の一歩よりも偉大で、ゴールに到達する一歩よりも達成感はあり、自己満足の世界で言えば誰の一歩よりも最高の一歩だ。
あぁ、満たされる。
あぁ、虚しい。
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