183人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
「悪いが、今からまひろを迎えに行ってくれ」
「……馬鹿か?」
パソコンでデータ処理をしていた雪野が、目も手もパソコンから離さずに行った。
「緊急なんだ」
「今、接触は、柏原のジジイババア達に怪しまれるかもしれない。しかも今夜なんて」
「君は今から家へ直帰。その前に仕事の打ち合わせに淳行くんが家に寄るだけ。それだけだ」
SDカードを取り出しながら、深く長い溜め息をつく。
「本当に、馬鹿だな」
立ち上がり、上着と車のキーを手に取ると、公暁を振り返った。
「ジジイババアに嫌み言われても、守ってやんねーからな」
ベーっと舌を出すと、返事も聞かずに飛び出して行った。
「――嘘つきだな」
この会社で信用できるのは、互いだけだというのに。
最初のコメントを投稿しよう!