ほら吹き。

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「悪いが、今からまひろを迎えに行ってくれ」 「……馬鹿か?」 パソコンでデータ処理をしていた雪野が、目も手もパソコンから離さずに行った。 「緊急なんだ」 「今、接触は、柏原のジジイババア達に怪しまれるかもしれない。しかも今夜なんて」 「君は今から家へ直帰。その前に仕事の打ち合わせに淳行くんが家に寄るだけ。それだけだ」 SDカードを取り出しながら、深く長い溜め息をつく。 「本当に、馬鹿だな」 立ち上がり、上着と車のキーを手に取ると、公暁を振り返った。 「ジジイババアに嫌み言われても、守ってやんねーからな」 ベーっと舌を出すと、返事も聞かずに飛び出して行った。 「――嘘つきだな」 この会社で信用できるのは、互いだけだというのに。  
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