未知との夏祭り

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 取り敢えず声を上げてみたが返事もなければ反応もない。返事がないのであれば仕方がないので、俺は綿菓子を食べながら人混みを進むことにした。  綿菓子を口に運ぼうとした瞬間。俺は気付いた。下げた腕に持っていた綿菓子の大きさが小さくなっていると言うことに。 「綿菓子って砂糖の鎌足って聞いてたけど、思ってたより美味しいね」  いつの間にか後ろでしゃがんでいた礼子は、勝手に綿菓子を食べた上に、勝手に感想を述べた。  藤原鎌足みたいな言い方しやがって、最後の美味しいって言葉がなかったら洗濯機に入れて回すところだ。 「どうだ美味しいだろ? いるなら全部やるぞ。俺は新しいやつを買ってくるから」 「そんなにはいらない。セッちゃんが持ってて。ぶっちゃけ、あたしはセッちゃんの物に食い付くのが楽しいだけだから」  どうでも良いけど、それってつまり、食べ物は全て俺が持たなければいけないと言うことだよな。  ……神に荷物持ちをさせるとは何てやつだ。神主達が聞いたら激怒するぞ。
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