未知との夏祭り

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 インコが仲間に加わってから、俺達は人混みの中で屋台を求めてさ迷い続けた。  フランクフルトに焼きそば、射的にくじ引き。ヨーヨー釣りや松山名物東京ケーキなんかもあった。  どの屋台でも、俺が買ったものを礼子が横取りしてきた。ヨーヨーは釣れなかったから手元には無いが、くじ引きで当てた変なビニール人形や、射的で当てた良く分からないカセットテープは俺が全て持っていた。 「そろそろ花火の時間だな。礼子、少し歩くけど良い場所があるんだ。行くか?」 「行く行く!」  少し歩くと言っても、近くにある電波塔である。本来ならば立入禁止だが、以前の仕事で世話をしてやった男が管理者の為、俺だけは登らせてくれるのだ。  徒歩で三分もかからない内に着いた電波塔には鍵がかかっており、守衛室の男に鍵を借りる。 「あんたが花火を見に来るなんて久しぶりだな。また塔の上で昔話でもするか?」  顔に幸せそうな笑い皺を年輪のように刻んだ男は俺に親しみを込めてそう言った。 「いや、今日は連れがいるから今度だな」 「また仕事か? 相変わらず人がいいねー」 「んなこたねぇよ」  俺は鍵を受けとると後ろ手を振って守衛室を後にする。  俺は、電波塔の扉の前で待つ礼子の横を通り抜け、鍵を扉に差し込み、ゆっくりと回した。
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