■第1章 ちいさな殺し屋のちいさな世界

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1 輝季(てるき) 輝季のヘアスタイルは、軽やかなストレートボブで、つややかな黒い髪を、うなじの長さまでしぜんにながしている。 そして、りんとした瞳のあいだから、すーっととおった鼻すじがのびて、その下には、花びらのような桃色のうすいくちびるが2枚、上品にかさなってある。 それらのパーツが、ととのったりんかくの中に、バランスよく配置(はいち)されていて、いつの時代に、どこの国に生まれていても美人と思われるほどな、気品のある顔立ちをつくっていた。 うまれもった容姿(ようし)にくわえて、のびのあるすんだ声、きぜんとした中にも、ゆうがさのある立ちいふるまい、ただよわせているオーラすべて、その美しさにはまったくすきがない。 輝季をはじめて見たときから、おなじ世界の人間とは思えないほどな、圧倒(あっとう)的な天性の美というものを思いしらされて、わたしなんかは、ひどくコンプレックスをいだかされてしまうほどだった。
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