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この4人には共通点が一つある。「親がいない」または、「親に捨てられた」子供たちという点である。このご時世、奨学金をやっている財団はとても少ないし、定員も少ない。そんな中、俺は高校までは何とか通うことができて、大学を受けようとしたが…受からなかった。というよりも受けなかった。
実はこの喫茶店。孤児院だった建物を改装したものなんだ。あの内戦から10数年経ってなお、独特なシルエットがお客様を出迎える。もちろん俺たちが住んでいる限り、今もなお、孤児院として機能はしている。
ちょうど俺が朝ご飯を平らげたその時、シンディが口を開いた。
「ニックー。お皿片付けなさい?全員分。」
「えっなんで俺が」
「さっきから優雅に足組んで新聞広げてんの見てたら、なんかムカついたのでなんとなく。」
「…ふざけんなよったく。」
「…や・く・そ・く。もう忘れちゃった?晩御飯抜かされたいのねあんた。どーしよーかしらね~。」
「…ハイハイハイ、わかったわかった!ジョエル、お皿ちょーだいっ」
「よーし。お利口さんだなニックは。ほい、よろしく。」
しょうがないな。ニックは最近スリにあって、シンディに借金しているんだった。借金する代わりにお店でこき使われるのが条件だったな、確か。
と、思ったことを口にするとただでさえキレやすいあいつを怒らせかねないので胸にしまっておく。まぁ現実として、スリで生計を立てている貧困層もいるため、この街の治安は良いとは言えないのが実状である。
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