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ニックが渋々食器の回収、そして皿洗いに勤しんでいる中、俺はニックの読んでいた新聞をテーブルからどかし、新聞の棚へ戻し、布巾で机を拭く作業に取り掛かった。自分はジョエルの探偵助手ではあるが、この家の一員として真面目に働いているつもりだ。心からこの店に尽くしている。なによりこの孤児院の創設者に感謝しているからだ。…そういえば、”おじさん”は夕べ帰らなかったな。
「ねぇシンディ。おじさんは帰ってきてる?」
そう尋ねると、シンディは眉毛をハの字にして答える。
「…ごめん、来てない。ぜんっぜん電話に出てくれないんだもん。やんなっちゃうわね全く。」
おじさんがこの孤児院を1日2日開けるのは日常茶飯事となっている。だが、「仕事が立て込んでいる」としか理由を話してくれないため、我々は仕方なく個々の仕事に専念している日々が続いている。
「マジかよ…。」
「おおマジだよ。今日で3日目だぜ?いい加減帰って来いっての。」
俺が頭を抱えていると、ニックが皿を洗いながら答える。
すると、いつの間にか玄関を掃除していたジョエルが提案を持ち掛けてきた。
「なぁジェイク。なら俺たちで探しに行くか?今入っている依頼は少ないし。」
「…いいの?」
「だってしょうがないだろ?俺たちの大事な親父さんだ。いつもなら電話の一本はあったのに、今回ばかりはおかしいだろ?まぁ、最悪警察に届け出ればいいさ。」
「だね。そうしよう。」
「…私からもお願いね。お店の準備はもういいわ。どうか気を付けて。」
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