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「彼氏ぃっっ?!」
昼休み―――
教室中に響き渡ったあたしの声
「ちょっと!楓花っ!声大きいっ!」
クラスメイトから一斉に
向けられた視線に気付いて、
あたしは少し縮こまって
小さめの声で聞き直した
「彼氏なんて南、
いつの間にできたの?」
親友の突然の報告に
動揺を隠せないあたし。
ーー七瀬 楓花ーー
(ななせ ふうか)
ごくごく普通の
なんの取り柄もない高校2年生。
そして目の前で少し照れ臭そうに
食べ終わったお弁当を片付けている。
――栖川 南――
(すかわ みなみ)
南とは小、中、高校と
ずっと同じクラスで、大親友。
お互いの歴代の好きな人から、
タイプまで大体知り尽くしている
特別目立つタイプではないけれど、
男の子が好きそうな
可愛らしい雰囲気を持っていて、
このクラスにも密かに
狙っている男子がいるとかいないとか。
今まで彼氏がいなかったのが
ホントに不思議なくらいだ
そんな南の突然の報告
「友達がバイトしてる
ライブハウスに行った時に知り合って、
こないだ付き合ってって言われたの
見た目はちょっと派手だけど、いい人だよ」
「え?ライブハウス!?
南、ライブハウスなんて行くの?」
「うん、最近だけどね。
今は彼のライブ、
毎回観にいってるよ。
でさ、楓花にお願いがあるんだけど...
彼のバンドね、
今スタッフが足りないらしくて
楓花、やってみる気ない?」
「えー...あたしには無理だよー。
ライブハウスなんて行ったこともないし」
「じゃあ今日学校帰りに
一回行ってみようよ!
答えはそれから、ね♪?」
結局南のペースに流されて、
放課後、南の彼が練習しているという
スタジオへ連れて行かれることになった。
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