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閉じていてもなお明るい瞼の裏。だけど直射日光の心地好さに、つい、うとうとしてしまった。
もうすぐこの学校も転校しよう。そう思いながら……。
……。
……。
なんだろう。何か懐かしいような香りがする。暖かくて柔らかい香りに誘われるように、僕はゆっくりと目を開けた。
「すンっ!?」
…え。
突拍子もない声がした方に顔を向けると、そこには目を丸くして口をポカンと開けた、知らない女の子の顔があった。
塔屋の屋根に繋がる梯子に手をかけ、顔だけ出して固まる彼女と目が合う。
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