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橘さんはダンディーな笑顔でパチンとウインクをすると扉を閉めた。
室内テニスコートには僕と藤谷さんが2人きり。お互い真っ赤な顔で橘さんが閉めた扉を見つめた。
ど、どうやら、母さんよりも先に迎えに来た橘さんに、さっきのキス未遂を見られていたらしい。
この家は油断ならないな。そして、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど…。
「あっ…」
動揺した藤谷さんの持つラケットからボールがいくつも転がり落ちてコートの上を跳ねた。
「や…ごめっ」
急いでボールを追いかける藤谷さんがまた小動物みたいで可愛い。
僕はボールを無視して藤谷さんを抱き締めた。
「すンっ!?」
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