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彼女の艶々の黒髪を撫でる。そしてその手を頭から頬に滑らせる。
「じょっ、城乃内君!?」
「続き…しよっか」
至近距離で見つめ合う。
「えっ…で、でも、ボールを拾わなくちゃ…」
「いいから、いいから」
オデコとオデコをコツンと当てる。指先に触れる藤谷さんの耳が熱い。
まだ色々と障害はあるけど、僕達は僕達のペースでゆっくり歩いて行こうね……。
オデコを離し、代わりに唇を近付ける。
「食事の準備が出来たって…」
「いいから、いいから」
「だけど…」
「いいから、いいから」
「……もう」
誰もいないテニスコートで、今度こそ僕達は……。
完
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