オタクと最強は紙一重

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えー、では記念すべき第一回目、【オタクと最強は紙一重】をレビューしちゃいます。 ・ストーリー……4点。(5点満点中) この作品、設定は今や珍しくもないオタク系最強主人公モノで、例に洩れずアニメやら漫画の能力を使用しているのだけど、この作品の場合、他と違うのがしばしばオリジナルの能力が使われているという点だと思います。   この頻度が段々と増えていき、ページも後半になってくるともはや主人公のオタク設定はギャグパートにしか活きてこない。「え、じゃあオタク系の意味なくね?」って思う人もいるかもしれません。   ここでオタク系作品のメリットについて説明しておくと、まず少し前まで流行っていた、学園系の主人公最強モノよりも【素人でも書きやすい】という点があります。何故かというと、アニメやら漫画の力・科白を使って主人公を簡単に【カッコ良く魅せられる】から。   通常、主人公にカッコ良い科白を言わせるには相応の説得力がなくてはならず、中身がスッカスカで上辺だけカッコ良いことを言わせても白けるだけです。しかし、オタク系は科白を言わせるのに過程が必要ない。能力を制限なく使えるように、科白もまた制限なく使えるという訳です。これが大きなメリットでしょう。過程をきちんと作るのは、やはり素人には難しい工程ですから。   そしてまた、こうした長ったらしい過程無しで主人公がカッコ良く活躍することに読者は読みやすさとカタルシスを感じるんですね。 早い話、オタク系は最初から最後まで主人公が無双しているだけで物語が終わっても良いんです。そこにカタルシスを生み出せている限りは。 で、本作に話を戻しますと、本作もまたそうしたメリットを活用しています。ライクスとミドラに向けて兄貴の名言を放ったりです。こういう場面で生まれる勘違いイベントは読んでる側からすれば愉快で楽しい。   が、実は本作は、そもそもオタク系じゃなくても面白かったりする。それを証明してみせたのがイニス編、シェリア編でした。この二つのエピソード、臨也は二次元の科白ではなく、臨也本人の言葉と行動をもって解決しています。しかもこの二つはともに、イジメとか凄惨な過去という、並みのオタクが解決できるよう話ではありません。
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