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そんな二人に、背の低い男の鉄拳が飛んだ。
大柄男には腹、細身長身な男には顎下にクリーンヒット。
うを!?と驚きながら二人も負けじと仕返し。
おかげで背の低い男は、二倍の痛みを受けることになった。
「くぅっ、覚えてろよ二人ともぉぉ……」
恨みの籠もった目で、大きな二人を見上げる。
彼の名は藤堂平助。
この壬生浪士組の一隊士であり、副長助勤という幹部である。
大柄な男と細身長身な男もここの隊士であり、副長助勤を勤める。
大柄な男は原田左之助。
細身長身な男は永倉新八。
ぎゃーぎゃー騒ぐ藤堂をあしらいつつ、永倉が後ろへ一歩下がった。
トン――。
人に当たった感覚。
驚き振り向いて見れば、一人の隊士がいた。
どうやらこの者にぶつかったらしい。
まだ人がいたのか、と思いつつも「すまん」と一言謝罪。
相手も「いえ」と会釈すると、そのまま道場を後にして行った。
「お、まだ人がいたのかァ」
「見かけない奴だったな。新入隊士か?」
「いたたた!!ってか離せよ二人とも!!髪がもげる!!」
おー悪い悪い、とわざとらしく二人は言う。
そんな二人に「今に見てろよ…。お前らよりでっかくなって踏み潰してやるからな!!」と力を込めて言うが、
そりゃ無いな、と笑い飛ばされるのであった。
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