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「どうせお前、リンゴが茶色くなる会に参加したとか思ってたんだろ」
「え!? な、そんなこと思ってないし。なんでそんなこと言うの?」
「さっき顔に書いてあった」
いたずらっぽく笑いながら言われて、すずは顔を赤くして頬を膨らませた。
まさか考えを読まれるとは。
恐るべし。
「……すず、研究所でもリンゴいっぱい食べたけど、どんなに置いといても茶色くならなかったなぁ。茶色いリンゴ見たの、初めて」
「そりゃクローンだからだろ? クローンのもんは、いろいろ遺伝子いじくってるからな。それを率先してやってる研究所の食事なんて、全部処理済みだろ」
「そっか……」
すずは、どこか寂しそうに視線を落として一息ついた。
まだ飴が残っている部分に、顔が映っている。
しばらく無音の時間が続く。
ガヤガヤと、外の人間達の声が微かに聞こえてくる。
すずはその重い空気に耐え兼ねたのか、カプリとまたリンゴをかじった。
ぱりぱりと飴の割れる音が聞こえた。
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