8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
ゴチャゴチャとゴミゴミしい街。
青年が追った飛空機はここからだいぶ離れた都心にある、とてつもなく高い建物に向かって行った。
薄緑の、特殊な素材で出来ているその建物は、国の代表、大臣、そして機密レベルの研究を行っている研究者が集まっている、らしい。
いわば国の心臓部分だ。
青年はそれを見て一度舌打ちし、そして雑音に堪えられなくなり、都心とは逆の方を向いて歩き出した。
規模の大きな街だけあって、人が多い。
家族、カップル、子供同士。
いろんな人間とすれ違いながら、彼はまたキセルを取り出して吸い始める。
(次はどこに行くかな……)
ぼーっとしながらそんなことを考え、行くあてもなくふらふら歩く。
出店では店員が大声で客寄せし、それにつられて人が集まる。
「ほらほら、世にも珍しい成長しないヒヨコだよ。安いから一匹どうだい?」
「可愛い~! ねぇ、買おうよ」
ぴぃぴぃと変な音がすると思ったらあれか。
一組のカップルのうち、女が食いついてヒヨコを見つめている。
(……やめといた方が良いと思うけどな)
最初のコメントを投稿しよう!