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ユーリを見上げ、そして自分の布団に目をやりながらすずが言うと、ユーリは苦笑いしながら言う。
すずはそれを聞くと一度謝って、自分の布団に戻って行った。
「……すず、もうちょっと寝たい。寝てて良い?」
「マジ? じゃあオレも寝ようかな……。起きなかったら置いてくぞ」
「それはヤダ……」
もう半分以上寝ている声ですずは言い、目を閉じてしまった。
ユーリはそれを見て軽く頭を掻き、カーテンを閉めて明る過ぎる部屋を暗くした。
もう蝉が鳴き始めている。
だが今日は少し涼しい。
カーテンを閉める前に見た景色は、どんよりと曇っていた。
「……雨かなぁ」
ぼそりと呟いて部屋の中を見渡し、腰を降ろす。
特にすることもない。
目も、覚めてしまった。
というより、多分寝ようとしても寝られないだろう。
ユーリは机に頬杖をつき、その場で目を閉じた。
動悸と目眩は今になって治まった。
なんだったのだろうか。
最近多い。
ユーリは十時になったらすずを起こそうと決め、それまでに自分の身支度を整えることにした。
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