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叔母の目から涙が零れたのと同時に、雨が降り出した。
すずは慌てて、彼等に見えないところで雨宿りする。
「あらヤダ、雨だわ。睡蓮ちゃん、少し入りなさいな」
「いい。ほんとはもう帰るつもりもなかったし。叔母さんにも迷惑掛かるから。もう行くな」
ユーリがそう言い終えるか終えないか。
そんなタイミングで家の奥から罵声が飛んできた。
「お前、また勝手になにしてんだい!? ウチは伊良の御曹司様に用は無いんだよ!」
「ち、違うんです……私はそんな……」
「口答えするんじゃないよ! 誰のおかげで生きてられると思ってんだい!」
ユーリがヤバいと思い、立ち去ろうとした瞬間顔になにか当たった。
それを見て叔母は悲鳴を上げたが、それを投げた女が更に物を投げて来た。
地面に落ちたのは綺麗な造りの箱だ。
「さっさと失せな! 薄汚い乞食め!」
女はヤマンバのような見た目だった。
彼女はユーリを一目見るなり大声で怒鳴り、叔母を押し倒してドアを閉めてしまった。
「…………」
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