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そのことに安堵して、彼は辺りを見渡した。
「……ここから中央の方行けば繁華街あるけど、歩けるか?」
「はんかがい?」
「食いもんとか宿がたくさんあるとこ」
言われてすずは頷いた。
ユーリも頷いて、少し考える。
「寒くないか?」
「また手、繋いでくれるでしょ? それだけで暖かいから大丈夫!」
その言葉にユーリは笑顔になり、彼女と手を繋いで歩き出す。
手にした箱三つは、あまり濡れていないことを確認してからすずの荷物の中に入れさせてもらった。
広大な敷地を有していても中身はからっぽだ。
叔母は大丈夫だろうか。
ユーリはそんなことを考えながら、現地主の家を後にした。
しばらく歩いて着いた繁華街は賑やかだった。
建物の一階の天井と同じ高さに、ドームのように道全体と同じ幅の透明な屋根が掛かっている。
「すごいね~。お店、いっぱ~い」
「なんか手軽に買える飯買って、宿で食おうぜ。ここにはまだ警察来てねぇみたいだしな……」
後半は小声だったが、すずは頷いてキョロキョロと辺りを見渡す。
美味しそうな軽食を売っている屋台がたくさんある。
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