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透明の屋根のおかげで、傘を差していなくても全く濡れない。
とても楽だ。
「ねぇ。すず、あれ食べたい」
「? ああ、良いな。買うか?」
「うん!」
すずが指差したのは肉まんだった。
今日は真夏だと言うのにひどく冷える。
そのせいか売れ行きが好調だ。
「んじゃ、二つな」
「うん。ありがとう」
すずを置いて二つ買い、袋に入れてもらう。
それを持って宿を探す。
何軒も宿が建ち並んでいる。
泊まるのに苦労はしなさそうだ。
「安いとこで良いよな」
「うん。すず、お風呂があれば良いし」
「ああ、風呂な……」
ユーリは頷き、個室風呂完備の宿を探す。
それもすぐに見つかり、部屋を取った。
「なんかお金持ちみたいだね。毎日いろんなところにお泊りするの」
「……全部オレの金だけどな」
呆れながら言って、ユーリは一番に浴室に向かう。
ドライヤーを見つけるとそれを手にして戻る。
「ほらすず。ゴム外せ。髪濡れてんだろ」
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