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「やっぱパス。なんか食う気しねぇ。オレの分食って良いぜ?」
「え? ほんとに?」
驚き半分、嬉しさ半分の顔ですずは言って、彼が頷くと明るい声で礼を言った。
ユーリはすずの隣に腰を降ろし、夢中で食べている彼女をぼーっと見つめる。
すずはそんな彼を気にせず、パクパクと肉まんを口に入れていく。
一つ食べ終えて落ち着いたところで、すずはどこを見ているか分からないユーリに声を掛けた。
「ねぇねぇ。さっきユーリ、すずのお荷物の中に箱入れたよね? あれ、なに?」
「あ? ああ、あったな」
すずの言葉にようやく覚醒したユーリは言って、考え込む。
叔母が悲鳴を上げるほど大事にしていたのだろう、あの箱。
すずの荷物の中に手を突っ込み、指先に当たったのを確認して取り出す。
青と白と、ピンクの小綺麗な箱。
「なに? それ……宝物?」
「だと良いけどな」
ユーリは少しの間開けるのを躊躇って、机の上に並べた三つを見つめた。
何となく白を手に取り、ゆっくり開ける。
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