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ああ、となにか思い出したように頷いて、すずは写真の男の子とユーリを交互に見つめる。
無口そうな見た目は相変わらずだ。
だが、人相が全く違う。
失礼だが同一人物とは思えない。
「…………」
すずは眉間にシワを寄せて、もう一枚写真をめくった。
最後の写真だ。
ユーリと、彼の妹の笑顔がアップで写っている。
良い笑顔だ。
「……まさかほんとに宝物入ってたとはな」
「?」
ユーリの、少し寂しそうな言葉にすずは顔を上げて彼を見つめる。
とても優しい顔をしていた。
ユーリは彼女の視線に気付いていないらしく、ピンクの箱を手に取って躊躇なく開けた。
ユーリのものと同じように、妹の赤ちゃんの時の写真から始まっている。
一枚ずつ見ていって、ユーリは微笑む。
妹と写っているもの以外全て直立不動、無表情で写っていたユーリとは違い、妹は全ての写真に笑顔で写っている。
カメラを意識していないものでも、軽く口角を上げて明るい表情でいる。
初等、中等学校の入学、卒業式のものも、制服の丈を短くしてわざわざポーズまでとっている。
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