蝶は花を求めて

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「可愛いだろ? オレの自慢の妹。オレとは大違いで、いっつもニコニコしてる奴でさ……」 「ユーリも、昔は明るい感じするよ?」 「それでも根暗。妹の前でしかほとんど笑わなかったし、友達なんて一人もいねぇからな……」 ユーリは言って、苦笑いする。 「悪ぃな、シスコンで」 「良いんじゃない? いもうと大事にするお兄ちゃんって、良い感じするし」 はは、と笑って、ユーリは写真をそれぞれの箱に戻した。 ただ一枚だけ、二人が笑顔で、アップで写っている写真だけ出したままにした。 「ねぇ、この青いのは? 見ないの?」 「それは良い。中身一番つまんねぇから」 「ぇえ~? すず、見たい」 ユーリは彼女の言葉を完全に無視して箱を片付けてしまい、それを見たすずは頬を膨らませた。 ユーリはすずの鋭い視線を感じながらもキセルを出して火を点け、窓辺に向かう。 「あ、そうだ。肉まん冷めてるぜ?」 「あっ!?」 ユーリに言われて、すずは慌てて袋から肉まんを出した。 まだ、かろうじて温かい。
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