8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「可愛いだろ? オレの自慢の妹。オレとは大違いで、いっつもニコニコしてる奴でさ……」
「ユーリも、昔は明るい感じするよ?」
「それでも根暗。妹の前でしかほとんど笑わなかったし、友達なんて一人もいねぇからな……」
ユーリは言って、苦笑いする。
「悪ぃな、シスコンで」
「良いんじゃない? いもうと大事にするお兄ちゃんって、良い感じするし」
はは、と笑って、ユーリは写真をそれぞれの箱に戻した。
ただ一枚だけ、二人が笑顔で、アップで写っている写真だけ出したままにした。
「ねぇ、この青いのは? 見ないの?」
「それは良い。中身一番つまんねぇから」
「ぇえ~? すず、見たい」
ユーリは彼女の言葉を完全に無視して箱を片付けてしまい、それを見たすずは頬を膨らませた。
ユーリはすずの鋭い視線を感じながらもキセルを出して火を点け、窓辺に向かう。
「あ、そうだ。肉まん冷めてるぜ?」
「あっ!?」
ユーリに言われて、すずは慌てて袋から肉まんを出した。
まだ、かろうじて温かい。
最初のコメントを投稿しよう!