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ユーリは言って、伊良睡蓮の文字を指差した。
「いら……。 ???」
「すいれんって読むんだよ」
「睡蓮……。へぇ、綺麗な名前。なんか、イメージ違うなぁ」
すずは軽く笑いながら言って、睡蓮の字を見つめた。
彼の言う通り、白い字で書かれている。
「なんで白なの? ユーリ、生きてるのに」
「長いこと行方不明だからな。だから、手っ取り早く死んだことにされたってわけ。親もとっくに死んだしな」
ユーリは言って、視線を墓の正面に戻した。
ユリが変わらず緩く揺れている。
「親……。なんかいっぱい名前あるけど、どれがユーリのパパとママ?」
「んなの知る必要ねぇだろ……。一応、赤い字の右側全部だよ」
「右? 全部? 四個も名前あるよ? 普通パパとママって一人ずつでしょ?」
言われてユーリは再び苦笑する。
いちいち細かいな。
「オレの家庭複雑でよ。一番右の二人が兄貴の親。真ん中二人がオレの親。で、左二人が妹の親。死別と再婚繰り返して、その度にガキ作るから……」
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