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地面は整備されていない砂利道だ。
何度かコケそうになりながらユーリを追い掛ける。
ふと後ろを振り返ると、ユリが手を振るようにゆらりと揺れた。
「ねぇ、なんでママの数字とユーリの妹の数字が同じなの? あの数字ってなに?」
「知らねぇよ。とにかく、さっさと宿に戻るぞ。話は風呂入ってからだ」
強く言われて、すずは黙り込んだ。
そんな意地悪く言わなくても良いじゃん。
無言で来た道を歩いて行くが、繁華街に入ってからユーリはなにか思い出したかのように広い道から外れる。
すずも慌てて彼について行く。
繁華街のほぼ真ん中にある薄暗い路地。
人々の喧騒が聞こえる。
「ね、ねぇ。どこ行くの?」
細い道。すずは不安になりながら彼に問うが、なにも言ってくれない。
奥へ行けば行くほど胸が痛くなって、とうとうすずは泣きながらユーリの足にしがみついた。
「ねぇ、ヤダ! すず、ここ嫌い!!」
「は? お前、こんなとこに来んの初めてだろ?」
「でも、嫌い……。なんか知らないけど。すず、ここで酷いことされた気する……」
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