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「ね、ねぇ……大丈夫?」
「……っ、あぁ、悪ぃ。お前の言葉に驚いてな」
咄嗟に嘘をついて笑い、ひどい動悸が治まらないまま再び横になる。
「パパがお前を殺すわけねぇだろ?」
「……でも、ユーリも知ってるでしょ? 研究所の人達、すずのこと殺そうとしたの」
「エージェントな」
ユーリは言って、深呼吸して心臓を落ち着かせ、ため息混じりに言う。
「そんなの脅す為の冗談だろ? 殺人罪だぜ?」
「うん……。なら、良いんだけど」
「絶対そうだって。ま、やり過ぎだとは思うけどな」
すずはその言葉に小さく頷いて、その後少し黙り込んだ。
低く地を這うように雷鳴が鳴り響く。
「……でもすず、冗談だったって思えなくて……。パパ、時々ほんとに怖い顔するから」
不安そうな声。
また抱き着いて来る。
心なしか、微かに彼女の体が震えている。
「見つかったらきっと、ほんとに殺されちゃう気がする。冗談だって思いたいけど、でも、なんか怖くて……」
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