8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
怖い。
その言葉が妙に頭に響く。
頭痛がする。
「……怖いって、なにが? 殺されることが? んなの気にすんなって」
「……それもだけど、それだけじゃない気がする」
「……?」
すずはまたユーリの胸に頭を押し付けて、頼りない声で答える。
「……ユーリにも、迷惑掛けちゃう」
「それは気にすんなって言ってんだろ? オレも追われてんだぜ? ほんとはライラックの連中に捕まんなきゃなんねぇ人間だぞ?」
「……だってすず、ユーリのこと好きだし……」
その言葉の後、沈黙が二人を包む。
異様な雰囲気にすずは慌てて体を起こし、ユーリを見下ろすようにして言う。
「べ、別に恋愛かんじょーとか、そんなんじゃないよ!」
「当たり前だ。お前みてぇなガキ、こっちから願い下げだ」
「…………」
すずはぷくぅ、と頬を膨らませてまた寝転ぶ。
「オレのことなんか忘れた方が良いって。犯罪者だぜ?」
「すずもだし。……とにかく、もうパパのとこには帰りたくない」
最初のコメントを投稿しよう!