蝶は花を求めて

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「見た目のワリに弱ぇ……」 右の拳を緩く振りながら倒れた男達を見下ろし、青年は言った。 まじまじと彼等の服装、特に衿元に目をやった彼は突然蒼白して顔を歪める。 「やっべぇ……こいつらエージェントじゃん。また追われる理由増えちまうな……」 そう呟き、それから少女に目を向けた。 腰を抜かしているのか、ペタンと座り込んでいる。 「で、なんであんたはエージェントなんかに襲われてたんだ?」 「ぇ!? あ……えっと……」 突然声を掛けられて少女はビクリと体を震わせ、キョロキョロと辺りを見渡す。 「お前に言ってんだよ。早く答えろ」 少女の前にいわゆるヤンキー座りをして青年は更に言う。 少女は人相の悪い男に見下ろされて、泣きそうになりながら口をぱくぱくさせる。 「……パパとか言ってたな。どこにいんだ?」 「…………」 その言葉に少女は黙り込む。 青年から視線を外して俯いてしまった。 「……じゃあママは?」 「……いない」 ようやく答えてくれたが、意味のない答えだ。
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