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翌日、ユーリは鈍痛のする頭を押さえながら体を起こした。
すずはずっとくっついていたらしく、体を起こしたことによって小さく転がった。
今日は湿気がないが、肌寒い。
立ち上がって外を見ると、薄暗い空が広がっていた。
「……今日も変な天気だな」
小さく呟いて、ふと顔の右側に違和感があることに気付く。
包帯が緩んでいた。
(ちっ、だから雨は嫌いなんだよ……)
湿気を吸って緩くなってしまった包帯に触れながらユーリは考える。
時計はまだ朝の七時を指している。
また早起き記録を更新してしまった。
すずはきっとまだ寝るだろうし、ゆっくり風呂に入ってから部屋で直すか、と考えて彼女に上掛けを掛けてから浴室に向かった。
服を脱いで包帯とネックレスを外して、風呂場に降りて湯を浴びる。
肌寒い分、温かいお湯が心地好い。
だが、頭痛は治まらない。
風邪ひいたかな、と思いながら、さっと体を洗って風呂場を後にした。
鏡を極力見ないようにして身支度を整え、髪を乾かし、部屋に戻る。
戻って、後悔した。
すずが起きている。
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