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「あ。ユーリ、おはよう。お風呂入ってたの? なんか良い匂いする」
「あたり」
ユーリは平淡な返事をして腰を降ろし、自分の着物を引っ張って包帯を取り出した。
「? なにするの?」
はいはいする赤ん坊のように寄ってきて、すずは聞く。
彼の動きをずっと見つめ、そして気付いた。
「あ、今日包帯してない! それ取る時あるんだ」
「当たり前だろ? ずっと付けてたら腐る」
ユーリは言い、髪を掻き上げようとしてやめた。
すずが興味津々の目でこちらを見ている。
「……頼むから、あんまこっち見ないでくんない?」
「なんで? ユーリの右目、いっつも隠れてるから気になるし」
「…………」
ユーリははぁ、とため息をついてすずを見下ろした。
可愛い顔をしている。
「ねぇ、一回で良いから右目見せてよ」
「やだ」
「なんで? スッゴく気になるし」
すずがねぇねぇとユーリの膝を揺らす。
諦めたユーリは、とてつもなく嫌々右側の髪を上げた。
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