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「うっせ。ずっと目ぇ見られて平気な奴いるかよ」
強く言って、ユーリはさっさと慣れた手つきで包帯を巻いてしまった。
鏡を見ずに出来るのは、もう五年近くも同じことをしているからだ。
「ユーリの右目、すずが写ってたけど……やっぱり見えないの?」
「見えねぇもんは見えねぇの」
「ふぅん。なんでユーリはその目嫌いなの?」
質問に質問を重ねて来るすず。
多少いらつくが、何故か律儀に答えてやるユーリ。
「第一に見えねぇから。第二に、見た目が死んだ魚の目みてぇだから。カッコイイ顔が台なしだろ?」
悪戯っ子のように彼が言うと、すずはムッとしてじとりと睨み上げる。
「……確かにカッコイイけど、また自分で言う。すずはそう思わないけどなぁ。スッゴく綺麗だったもん」
「オレは嫌いなの」
ふん、と大人げなくそっぽを向いてユーリは机に頬杖をついた。
昨日置いた、自分とひめゆりの写真が目の前にある。
「そういえばユーリ、目が見えなくなったの子供の頃って言ってたよね? でも写真に写ってるユーリ、全部目が黒かった」
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