蝶は花を求めて

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嘘ついたの? と言い寄られて、ユーリはいやいやと左手を振った。 「失明したのは十八、十九の時だよ。この写真は、姫が死んだ年のだから……オレはまだ十六だな」 「十八、十九……。それってもう子供じゃないよね」 「まだまだガキだよ。今でもオレは大人に成り切れてねぇしな」 へっと笑って、ユーリは机の上に寝そべった。 視線はずっと写真にある。 「ユーリってなんか、他の人と違うよね。なんか、なんか……普通じゃないっていうか……」 「変な人?」 「違う、そうじゃない。生き様がカッコイイって感じ?」 なんだそりゃ、とユーリは呆れて、目を閉じた。 自分は大人なんかじゃない。 自分の思い通りに行かない世の中から目を背けているだけのわがままだ。 「それにしても、ユーリの目って真っ黒々なんだね。すずの目、ちょっと茶色だから羨ましいかも」 「そんなん気にしたことねぇや」 目を閉じたまま言い返して、欠伸する。 でもこの言葉、どこかで聞いたことがある気がする。
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