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「なにか連絡先は?」
「知らない」
「家は?」
「ない」
有益な情報が一つも手に入らない。
困った青年は頭を掻いて、うーん、と悩む。
「じゃあ、なにしてたんだ? 鬼ごっこ? 戦隊ごっこ?」
「ち、違う! そんなんじゃ、ない……」
バッと顔を上げた少女だったが、語尾は弱々しくなり再び俯いてしまった。
「じゃあ、どこからここに来たんだ? それくらいわかるだろ」
「……おっきい、研究所」
「研究所? シャガ研究所か?」
こくん、と少女は頷いた。
シャガ研究所は都心の一番高いあの建物の中にある。
ちなみにあの建物はライラックと呼ばれている。
「なるほど。なら、こいつらがエージェントって言うのも納得だな」
青年は言いながら、突然少女の胸元に手を突っ込んだ。
「やっ!? なにすんの、変態!!」
「じっとしてろ」
うんうん、と青年の腕を押して抵抗する少女だったが、敵わなかった。
少しして、青年は手を引き抜いた。
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