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即座に否定されたユーリはため息をついて、また天井を見つめる。
「……ねぇ、ユーリ。ユーリは、自分のパパとママのこと覚えてる?」
「ん? ん~、親父は火事で死ぬまで生きてたから覚えてるけど、お袋はオレが生まれてすぐに死んだからな。覚えてねぇや」
聞こえてきたすずの言葉に素っ気なく答えて、ユーリは彼女に顔を向けた。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「何となく思っただけ。覚えてるのかなって」
すずは言ってユーリに近付き、彼の綺麗な顔を見下ろした。
お互いの瞳にお互いの顔が映って、笑う。
「オレの親は四人もいるからな。親父とお袋二人ずつ。親父と、血の繋がりのないお袋は優しかったよ。家族みんなに」
「へぇ、良いなぁ」
「でも兄貴が出来る奴でさ。いっつもプレッシャー感じてた。親父達は気にしなくて良い、っつってくれたけど……やっぱ目が違ぇんだよな。期待の大きさっての?」
ユーリは笑って、首を傾げているすずに目をやる。
あまりよく理解出来ていないらしく、頭上にハテナマークが浮いている。
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