蝶は花を求めて

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未だに雨は降り続いている。 透明な屋根があるとは言え、間違いなく今の時点では小雨とは言えない。 こんな悪天候の中で祭をして、一体なにになると言うのか。 「ねぇ、ユーリ。祭ってなにするの?」 「……なんだろな。辞書に載ってんのは、毎年同じ日にご先祖さんとか仏とか神様にお祈りする行事、ってあるが……ちょっと違う気すんな」 「じゃあなにするの?」 ユーリは肩を一度竦めて見せてからキセルの火を消して言う。 「大勢の人間が一箇所に集まって、出店のもん買ったり、普段着ない着物着て楽しんだりする行事じゃね? オレ、興味ねぇからな」 「へぇ。……人、ほんとにいっぱいいるね。なんかいつもと違うもの売るの? その、でみせ? って」 「ん~? ……林檎飴とか、金魚とか?」 すずはユーリが挙げた二つともに興味を示し、瞳をキラキラさせた。 「なに? リンゴあめって。美味しそう! キンギョってなに?」 ユーリはやべ、と顔を歪ませて立ち上がり、キセルを片した。 そして答えずに布団に寝転ぶ。
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