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「ほら、あった。GPS」
「……え?」
青年の手には小さい銀色の丸い機械があった。
中が透けているが、複雑な作りになっている。
一定時間毎に赤い光を発している。
「シャガ研究所から脱走して来たんだろ? だったら、絶対に場所探知されてるぜ?」
気をつけな、と言って彼はそのGPSを地面に放り投げた。
コロコロと転がったそれは、エージェントの側まで行って一度一人の肩に当たってから止まった。
「ま、こんなジメジメしたとこで話すのもなんだし、一旦ここから出ようぜ。立てるか?」
「……ん」
少女は頷いて立ち上がり、青年のすぐ傍に寄る。
路地を、来た道を戻るようにして進む。
相変わらず暗くジメついている。
路地から出て、再び大通りに出る。
ガヤガヤとした喧騒が耳に痛い。
なんとなく辺りに目をやると、路地への違う入口に人が集まっているのが見えた。
いろんな声が入り混じる中、一人の男性の声が飛び出すように聞こえて来る。
「本当です! 銃声がしたんですよ! パンパンって!!」
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